春になると、昔から草むらにもよく見かける、黄色い無数の花びらをつけた「たんぽぽ」が、たんぽぽ茶の元になっています。たんぽぽの種子が飛ぶ時期になると、綿帽子のような形になり、その綿毛を吹いて遊んだ経験もあるのではないでしょうか。身近に感じるこの植物の根はとても効能が豊富で、豊かな味わいのあるハーブティーとして楽しめます。

■身近に親しまれているたんぽぽ茶
たんぽぽ茶は、日本原産のたんぽぽではなく、西洋たんぽぽが原料となっています。西洋たんぽぽは、花びらを支えるガクの部分がたんぽぽと少し違い、日本由来のたんぽぽが丸いガクで茎と花の部分がくっついているのに対して、西洋たんぽぽは、ガクの部分が少し開いた形になっています。キク科のハーブで、「ダンディライオン」、学名はTaraxacum officinaleとして知られています。このofficinaleという意味は薬用ということでもあり、古くから自然の薬にもなるメディカルハーブとして、ヨーロッパのハーバリストの間で用いられてきました。一般的にたんぽぽ茶、たんぽぽコーヒーとして出回っていますが、もともとはどちらも同じハーブを使用しています。販売区分はありませんが、たんぽぽ茶には、根の部分のほかに葉っぱの部分や、黒豆などほかの植物が混ざることもあるため、メーカーにより呼び名も違います。たんぽぽコーヒーは、原料の100%が根を使用して焙煎し、コーヒーのように飲む場合がほとんどです。

■よく出るおっぱいにはダンディライオン
ダンディライオンは、ノンカフェインで授乳中のお母さんにおっぱいが良く出るハーブティーとして人気です。そのわけは、母乳の分泌を促して乳腺炎の予防にもなる催乳効果があるためです。フィトステロール(植物ステロール)の一つであるタラキサステロールが、成分として含まれているため催乳効果として作用します。たんぽぽの茎を折ると白い粘液がでてくることを経験したことはありますか?その白い粘液に含まれるのがタラキサステロールです。また、よく似た名前の成分ですが、タラキサシンという身体を健やかに保つ成分も含まれています。

■タラキサシンの効果
タラキサシンは、苦味質という苦みを感じさせる成分が含まれています。この苦味質がたんぽぽコーヒーとしてコーヒーに似た味わいになるもとにもなります。タラキサシンは、消化管や肝機能を刺激して唾液や消化液を分泌させますので、消化機能の促進作用があります。胆汁の排泄をスムーズにし、肝臓の修復をして強肝・解毒作用もありますので、肝臓を元気にしてくれるハーブです。漢方薬の生薬としても使われてきました。内臓が元気になると力もわいてくるものです。たんぽぽ茶の根に詰まった栄養豊富な成分が産後の弱った身体に
じわりをきいてその効果を発揮します。

■禁忌事項
ダンディライオンに含まれる成分が、消化管や肝機能を活性化してくれ、肝臓の強壮や胆汁の分泌を促進する成分を含むという大変ありがたいハーブですが、胆道閉鎖や胆のう炎、腸閉そくの持病がある人は禁忌ですので注意してください。肝臓、胆のうが弱っていますと負担がかかりそれだけ症状が悪化する恐れもあります。
また、キク科の植物に過敏症の人はアレルギーをおこす可能性もありますので注意しましょう。副作用として低血圧・胃酸過多の方は症状が悪化する可能性があります。 

■古くから漢方薬
ダンディライオンは、繁殖力が強いこともあり、古くから伝統医学として継承されてきました。野生や栽培によって、アユールヴェーダや漢方薬の生薬としても使われてきました。また、さまざまな成分のほかにも多糖類の1種である「イヌリン」と呼ばれる血糖値の上昇を防ぐ働きのある成分があります。このイヌリンは、キク科の植物に多く含まれていますので、血糖値の低下が期待できるハーブティーとしても利用できます。

■イヌリンは強い女性の味方
腸内でオリゴフルクトースをなって腸内のビフィズス菌などの菌を増やすイヌリンは、腸内環境を整え改善してくれるので、産後になりやすい便秘の解消にも有効です。妊娠中から産後までの時期は強い便秘薬は控えたいですので、ノンカフェインで水分を多くとることになるダンディライオンは特におすすめです。便通を促す緩下作用があることで、便秘が解消されて、腸の環境が整うので、便秘の解消だけでなく、お肌の調子も良くなります。美容になかなか時間をとれない授乳中にも、うれしい成分がたくさん入っていますね。

■1日3杯を目安に
ダンディライオンは、根を含み、細胞組織がとても硬いので抽出時間は、ほかのハーブティーに比べると多めの時間でおこないます。スプーン山盛り1杯(約3g~4g)1杯分熱湯で約10分抽出すれば味わいが楽しめます。お好みで薄めの味が好きな人は少し時間を短くしますが、成分もそれだけ薄めになります。成分をより多く抽出する方法としては、少し手間がかかりますが、なべで煮出す煎剤もおすすめです。

■ダンディライオンの由来
ダンディライオンの葉っぱの部分は、カロチノイドやカリウムを豊富に含んでいることもあり、メディカルハーブとして食欲の増進や利用効果を期待して使用する場合もあります。
ダンディライオンという名前の由来は、細長くてギザギザした葉が、ライオンの歯に似ているということから、「ライオンの歯(Dent de lion)ダンディライオンとフランス語で名づけられたということです。花の部分がライオンの顔みたいだからかな?と最初に思う人も多いようですが、実はライオンの歯!ということでした。

いかがでしたか?たんぽぽ茶は、その名前も身近で親しみがありますが、ハーブティーとしては、ダンディライオンという名前のノンカフェインで身体への有能な働きをしてくれるお茶です。ミネラルも豊富でさまざまな作用を期待でき、これからも自然志向の人に愛されるお茶だといえます。春に旬のタケノコやふきのとうなど苦みのある植物を積極的に身体に取り入れることがありますね。ドイツでは、この春先に体質改善として春季解毒療法というものが定着していて、春の時期にダンディライオンコーヒーとして授乳中のお母さんにも愛飲されています。また、ダンディライオンは、関節リウマチや痛風などにも用いられています。コーヒーと似ているこのハーブティーを一度試してみませんか。